音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
音楽の感情的性格の主観的評定におけ る聴取前の気分の影響
松本 じゅん子
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2009 年 15 巻 1 号 p. 29-38

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抄録

本研究では,音楽作品の感情価の評定に気分がどのように影響するかを調べた。実験1では,被験者はビデオ視聴により気分誘導された後,抑鬱的な音楽または明るい音楽を聴きながら,感情価を評定した。実験2では,被験者は,強くて荘重な音楽または親和的で荘重な音楽を聴きながら,感情価の評定を行った。実験3では,ニュートラルな感情価をもつ音楽の評定を行った。その結果,特徴的な感情的性格をもつ作品の評定では,気分の影響は殆どみられなかった。しかし,ニュートラルな感情価をもつ作品は,悲しい時にはより抑鬱的に評価され,楽しい時にはより落ち着いた音楽として評価された。すなわち,よりニュートラルな感情価をもつ音楽作品ほど,気分の影響をより強く受けることが示唆された。

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© 2009 日本音楽知覚認知学会
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