多文化関係学
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混合研究法を用いた日本人学校教員の教育活動の分析
学校を取り巻く背景の違いに着目して
芝野 淳一
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 21 巻 p. 23-43

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抄録
近年、教育界ではグローバル人材育成の拠点として日本人学校の特色化が進められているが、こうした動向を検討する学術研究はほとんど蓄積されていない。そこで本稿では、多重対応分析とインタビューによる混合研究法に基づき、日本人学校教員の教育活動の特徴を、学校を取り巻く背景に着目して明らかにした。本研究の知見は3つである。第1に、教員の教育活動は、その実施数(多い/少ない)と種類(現地とのつながりを重視する活動/日本とのつながりを重視する活動)によって違いがみられた。第2に、教育活動の種類が学校を取り巻く背景の違いと関連していた。北米・大洋州、中南米、中東・アフリカ地域にあり、日本人コミュニティと学校規模が小さく、国際結婚家庭の割合が多い学校の教員ほど日本とのつながりを重視した活動を実施する傾向があった。一方で、アジアや欧州地域にあり、日本人コミュニティと学校規模が大きく、国際結婚家庭の割合が少ない学校の教員ほど現地とのつながりを重視する活動に取り組む傾向がみられた。第3に、日本とのつながりを重視した活動を実施する背景には「日本に関する資源の利用しやすさ」と「学校存続のための戦略」が、現地とのつながりを重視した活動に取り組む背景には「学校・地域における資源の豊富さ」と「保護者のニーズへの対応」が見出された。これらを踏まえ、日本人学校の特色化をめぐる教員の創造性、資源配分の格差、研究アプローチの可能性について議論した。
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