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Hüttig-Type 吸着等温式とその模型に対する考察
宇津木 弘
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1967 年 16 巻 164 号 p. 304-313

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抄録
Hüttig-type の吸着等温式が(1)吸着分子は相互に独立である. (2)第1層は Langmuir type の局所吸着であるとした仮定で(i)第2層以上は完全に可動性であるとした場合, (ii) 多重層局所模型で2層以上の吸着分子の層間での交換を考慮した場合 (z方向にのみ可動性を考慮) について分子運動論, 統計力学的に求められた. 結果はいずれも誘導の方法にかかわらず一致した. (A)θ=cx(1+x)+x/1+cx, (B)θ=cxex(1+x)/1+cxex. 前者は Huttig 式に近いが第2項を含む. これは Hüttig の模型では1層, 2層での局所, 可動吸着の相違により1層が空席でも2層分子は吸着しうる可能性が含まれていないことによる. z方向の可動性を減少させた場合 (C) θ=cx〔1-ln(1-x)+xnl(1-x)〕/(1-x){1+cx〔1-ln(1-x)〕}, z方向の可動性を1層にまで及ぼす場合, (D)θ=cxex/1+c(ex-1), (E)θ=cx/(1-x){1-cln(1-x)得}がられる. (C), (E)はBET式よりθの立ち上がりがおそいBET II型等温線を与える. これらの式から計算した等温線は configuration no. の減少に伴いBET II型よりI型へと移行する. これらの結果から, BET模型は完全な局所吸着であるが Hüttig 模型は1層目は局所, 2層以上はz方向も含めた完全な可動吸着であるとみなすことができた. 実験的等温線とこれらの式との比較から求められた表面積は, いずれもほぼ20%の範囲内で一致する. これはいずれの式でも第1層に関する模型の類似していることによるのであろう.
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