日本看護技術学会誌
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原著
怒責圧と直腸内圧および怒責のかけやすさからみた排便しやすい体位の検討
今井 美香平井 真理桑原 裕子岩瀬 敏西村 直記清水 祐樹菅屋 潤壹藤井 徹也
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キーワード: 排便, 体位, 怒責圧, 直腸内圧
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2011 年 10 巻 1 号 p. 93-102

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抄録

 本研究は,仰臥位と座位姿勢において怒責時の胸腔内圧 (以下怒責圧) の違いが直腸内圧に及ぼす影響と,怒責のかけやすさの差異を調査し,排便のしやすい体位について検討した.健康な成人男女 19人 (男性 12人 ,平均年齢 32.4 ± 11.5歳) を対象に,室温27℃,湿度 50%に設定した人工気候室で実験を行った.被験者は仰臥位および座位それぞれの体位で,15秒間の怒責 (10,20および30mmHg) をかけ直腸内圧を測定した.怒責圧と直腸内圧はサンプリング周波数1 kHzで A/D変換し記録した.また自記式質問紙を用いて排便のしやすさについて回答を得た.
 仰臥位 ・ 座位とも,怒責圧の上昇に応じて直腸内圧も上昇した.仰臥位 ・ 座位ともに怒責圧 10mmHgにくらべ 30mmHgで直腸内圧が高かった (仰臥位 : 6.8 ± 1.0 vs 17.3 ±2.6mmHg,p=0.002,座位 : 9.7 ± 1.8 vs 20.4 ± 3.0mmHg,p=0.01).また同じ怒責圧下で得られる直腸内圧は,座位のほうが仰臥位に比し有意に高かった (怒責圧 30mmHg時,17.3 ± 2.6 vs 20.4 ± 3.0mmHg,p=0.018).主観的には,被験者は日常生活で和式トイレを使用している被験者1名をのぞき,座位のほうが怒責をかけやすいと感じていた.座位のほうが仰臥位に比し同じ怒責圧で直腸内圧はより高く,生理的 ・ 主観的に座位のほうが怒責をかけやすく排便しやすいことが示唆された.

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