日本看護技術学会誌
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研究報告
認知症高齢者に対する唾液アミラーゼ活性値測定の信頼性の検討
森田 聖子中道 淳子小林 宏光
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2015 年 14 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

 唾液中のαアミラーゼ活性値 (sAA) 測定の個人内再現性を検討するため,認知症高齢者を含む69名の対象者に研究を行った.対象者は,認知症がある高齢女性15名 (平均年齢86.7±4.8歳),認知症のない高齢女性23名 (平均年齢79.7±5.0歳),および健康な成人女性31名 (平均年齢23.1±4.5歳)であった.認知機能の評価は改訂版長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R) を用い行った.認知症高齢者および認知症のない高齢者のHDS-Rの平均はそれぞれ11.1と27.4であった.sAA測定には携帯型唾液アミラーゼモニター (ニプロ社製CM-2.1) を用いた.sAA測定は同日15時に2回繰り返して行った.測定の前に,対象者は水で含嗽し10分間の安静をとった.sAAの値は統計的検討のため常用対数に変換された.2回の測定値間の再現性を,級内相関係数 (intra-class correlation coefficient ; ICC) で検討した.認知症高齢者および認知症のない高齢者,成人それぞれの対数変換後のsAA値の平均は,1.64,1.46,1.61であった.3群間でsAAの値に有意な差はなかった.ICCは,認知症高齢者および認知症のない高齢者,成人それぞれ0.83,0.61,0.80であった.これらの結果より,認知症高齢者を対象に携帯型測定器を用いたsAA測定が十分に信頼できることが示唆された.

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© 2015 日本看護技術学会
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