2017 年 15 巻 3 号 p. 255-264
本研究の目的は, 先行研究から, 新生児への医療関連感染制御対策における手袋使用の効果を明らかにすることである.
医学中央雑誌 (Ver.5), PubMed, CINAHL Plus with Full Textを使用し, 1970年以降の文献を「手袋」, 「新生児」, 「院内感染」もしくは「医療関連感染」, 「gloves」, 「neonates」, 「nosocomial infections」 or 「healthcare-associated infections」をキーワードとして抽出した国内外の58文献を分析対象とした.
1970年代から1990年代の研究文献はアウトブレイク報告が中心で, 2000年代に入り手袋使用効果を検証した研究が増加していた. 手袋使用量を記載していた文献を基にMRSA保菌率と手袋使用量の関連性を調べた結果, 手袋使用量とMRSA保菌率のPearsonの相関係数はr=-0.873と強い負の相関があった. さらに, 手袋使用の有無によるMRSA保菌のリスク比は2.24 (95%Cl : 1.79-2.79) であった. これらの結果から, MRSAは手袋使用によって感染予防可能な病原菌であるといえる. しかし, 手袋の使用効果を十分に発揮できていない現状があり, 感染伝播の抑制が困難な状況下にあることが明らかとなった.