日本看護技術学会誌
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原著
留置針を用いた点滴静脈内注射時の部位選定に関する熟練看護師の観察と動作の特徴
柾本 常子矢野 理香
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2018 年 17 巻 p. 104-113

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抄録
 本研究の目的は, 留置針を用いた点滴静脈内注射において, 熟練看護師が行う穿刺部位選定のための, 観察と動作の特徴を明らかにすることである.
 2年目から3年目の看護師 (以下, 比較群) 11名, 熟練看護師13名を対象に, 留置針を用いた点滴静脈内注射実施の条件下で, 模擬高齢患者の前腕部に穿刺部位を選定するまでの実施を依頼し, 録画した. 録画した動画をもとに穿刺部位選定のための観察項目, 各動作の目的などについてインタビューを実施した.
 その結果, 触診時の手指の動作は, 比較群9種類, 熟練群11種類の合計12種類が抽出された. 部位選定時間は, 熟練群147.4±83.2秒, 比較群111.8±37.2秒であったが, 観察項目数, 動作数なども含めて, 2群間に有意な差はなかった. 比較群は, 左手背静脈網, 右前腕尺側皮静脈などに選定部位が点在する傾向があるのに対し, 熟練群の61.5%は, 左前腕橈側皮静脈を選択し, 選定部位が集中している傾向にあった.
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© 2018 日本看護技術学会
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