本研究の目的は, 高齢者を対象に, 腰背部温罨法 (丸山式) の安全性を皮膚温および皮膚状態の経時的変化より追加検証し, 安全性に影響する要因を検討することである. 調査方法は, 準実験研究デザインとし, 高齢者20名の腰背部に対して, 乾熱刺激を伴う温罨法 (丸山式) を20分間実施した. その結果, 低温熱傷などの有害事象は発生せず, 皮膚深部温度は38℃未満で推移した. 温罨法実施中から実施後の皮膚深部温度は, 前期高齢者群にくらべて後期高齢者群の方が有意に高かった. また, 温罨法実施前後では, 角質水分量は有意に減少していた. 以上より, 温罨法 (丸山式) によって高齢者に低温熱傷が生じるリスクは低いことが再確認できた. しかし, 後期高齢者においては温罨法により皮膚深部温度が上昇しやすく, 皮膚内部に熱が蓄積しやすいことが示唆されたため, 他の方法を用いた温罨法を行う場合は注意が必要である. 乾熱刺激を伴う温罨法は, 高齢者の皮膚の角質水分量の減少を促すため, 実施後には保湿ケアを行う必要があることが示唆された.