2023 年 22 巻 p. 71-76
COVID-19の流行は遷延し2022年度においても, 看護基礎教育の現場は臨地実習から学内実習への変更を余儀なくされる状況がある. 我々は, 看護展開論実習 (基礎看護学実習:1単位) を学内で実施する際に「想定外の状況に対応が必要な場面」が設定された計2回の看護実践を含むシミュレーション実習を計画した. 実習終了後, 今後の課題等を検討するため履修学生99名にアンケート調査を実施した (回答率38.4%). その結果, 2回の模擬患者への看護実践について, 異なる感想が得られた. 1回目の実践については, 「想定外の状況が起こり, その都度対応していく必要がある」等の今回の設定に関連した学びが記述されており, 2回目の実践に関しては, コミュニケーションについての配慮点など「患者との関わり方についての気付き」についての反応がみられた. また, 学生は計2回の実践を通して, 看護専門職者としての態度を養うという本実習の目的を達成するための実習目標の一部に到達することができていた. 本実習における新たな取り組みは, 臨床代替実習の質を高め, 臨床のリアルを組み込むというシミュレーション教育の課題克服の一助になることが推察された.