目的:ミトン拘束が手部の温湿度・汚れ・快適性に及ぼす影響を明らかにした.
方法:健康成人35名を対象に, 60分間ミトンを装着する条件 (以下, ミトンあり) とミトンを装着しない条件 (以下, ミトンなし) を実施し, 手部の温湿度・汚れ (Adenosine triphosphate, ATP) ・快適性 (主観的評価) を比較した. 手部の温湿度と汚れは対応のあるt検定, 主観的評価はWilcoxon符号付き順位検定を行った.
結果:ミトンありの手部の温湿度はミトンなしよりも平均して温度3~4℃, 湿度2~3%高く, 10分後・60分後ともに有意に高かった (P<.005) . 手部の汚れを示すATP値の差はなかった. 手部の快適性を示す温冷感・湿り感の主観的評価はミトンありが有意に高く, 快-不快感はミトンありが有意に低かった (P<.005) .
考察:ミトン拘束は手部の温湿度上昇や不快感をもたらすことから, やむを得ずミトン拘束する場合は, ミトン装着による温湿度の上昇や不快感にも着目し, ミトン拘束の必要性を検討することが示唆された.