抄録
ポリプロピレン(PP)に微量(1 wt%以下)のフェノール樹脂と有機過酸化物を添加して溶融混練すると,高流動性と高延性を兼ね備えたフェノール修飾 PP を作製できることを見いだした.高流動化(低分子量化)すれば延性が低下するという二律背反の関係から逸脱できたわけである.延性が向上した理由を明らかにすべく,DSC 曲線・広角 X 線回折パターン・小角 X 線プロフィールなどを観察したが,修飾の前後でまったく差が認められなかった.Hv 光散乱プロフィールの解析により,修飾 PP は著しく秩序性の低い球晶組織であることがわかった.低秩序の球晶組織が形成されることにより変形時に構造欠陥が発生しにくくなり,それが高延性の発現につながっていると考えられる.