抄録
本研究は,足浴が片足にしか実施できない場合,その効果が対側下肢にまで波及するのか否かを明らかにし,さらに循環促進効果を得るための最適な足浴時間を検討することを目的とした.われわれは,成人女性11名に対して,一定条件下で片足に足浴を50分間行い,この間,足浴実施下肢および対側下肢の膝部内側における皮膚表面温度,皮膚深部温度,皮膚血流量の変化を経時的に調べた.その結果,足浴実施下肢においても対側下肢においても,皮膚表面温度および皮膚深部温度の上昇,皮膚血流量の増加が認められた.また,特に循環促進効果を考慮する場合は,少なくとも40分間の片足足浴が最適であることが明らかとなった.これにより,健側下肢への片足足浴によって,患側下肢にも血流促進効果を得られることが示唆された.