2013 年 9 巻 1 号 p. 9-19
【研究目的】本研究の目的は,研究者らが作成した感染対策支援プログラムを活用して,小規模の療養型病院(1施設)に対して感染対策の向上を目的にした支援を実施し,その効果を評価することである.
【方法】研究の対象者は,被支援者として療養型病院の管理者から指名された感染対策の担当者12人(以下担当者とする)および,支援の一環として実施した学習会に参加した職員158人である.研究者(以下,支援者とする)は,2010年5月から2011年4月までの1年間,感染対策を検討する担当者会議にアドバイザーとして定期的に参加し支援を実施した.支援者が実施した支援は,支援者の役割と課題の明確化への助言,院内視察や職員への質問紙調査による感染対策への助言及び情報提供,組織横断的な感染対策活動のための組織づくりへの助言,担当者が企画した学習会への協働などである.支援を終了して1年経過した後に,担当者会議の会議録,支援の経過記録,院内視察および職員への質問紙調査の結果を分析し,支援の効果を評価した.
【結果及び考察】担当者会議では,排泄ケアの改善に取り組むことが提案され,排泄ケアマニュアルを見直すことを中心課題として検討が行われた.支援終了時には,標準予防策を踏まえた新マニュアルが作成され,それに伴い新マニュアルと標準予防策に関する学習会の企画・実施へと感染対策活動が拡大されていった.学習会により,職員の標準予防策への理解が向上し,学習会前に比べて学習会後には感染予防策23項目中10項目において実施しているという回答が増加していた(p<0.05).支援後半の会議では,担当者の感染対策への認識も前向きな姿勢に変化したことを示唆する発言がみられた.また,感染対策の組織としては,組織横断的な感染対策活動を実践することの重要性や担当者の役割への認識が深まり,従来の伝達中心の組織(感染委員会)を変更していくことが組織的に決定された.以上の結果から,本研究で実施した支援は,小規模病院1施設の感染対策の向上に一定の効果があることが示唆された.