2020 年 25 巻 1 号 p. 39-
【要旨】水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus、以下 VZV)は初感染で水痘を起こし、その後脊髄後根神経節に潜伏感染し宿主の加齢、免疫抑制、ストレス等に伴い再活性化し帯状疱疹を起こす。水痘予防のためワクチンが定期接種化され水痘患者数は減少しているが(pros)、一方で患者数減少に伴うナチュラルブースター効果の減衰に伴い、既感染者の水痘特異的細胞性免疫能の減衰スピードが速くなり、帯状疱疹患者の増加、若年化が懸念されている(cons)。帯状疱疹患者の増加は、疱疹後神経痛だけでなくウイルス再活性化に伴うさまざまな神経合併症の増加にもつながる。よって、今後帯状疱疹ワクチンによる帯状疱疹予防の重要性が増すと考えられる。