NEUROINFECTION
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基礎委員会セッション
近年のフラビウイルス感染症の流行状況
林 昌宏
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2022 年 27 巻 1 号 p. 104-

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抄録

【要旨】わが国は日本脳炎およびダニ媒介脳炎の流行地である。日本脳炎ワクチンの接種等により日本脳炎の流行は制御されているが、現在も日本脳炎ウイルスの分布状況には変化がないことが疫学的に示されている。またダニ媒介脳炎は 1995 年に初めて国内流行が発生し、これまでに5 例の報告がある。さらに海外からこれまでに、ウエストナイル熱、デング熱・出血熱、ジカ熱等の蚊媒介性ウイルスによるヒトの輸入症例が報告されている。2014 年および 2019 年にはデング熱の国内流行が発生した。デングウイルス、ジカウイルス等を媒介するヒトスジシマ蚊は本州以南に生息するため、今後も蚊媒介性ウイルス浸淫の可能性は否定できない。蚊媒介性ウイルスの発生動向にはヒト、カ、気候、環境等の要因が複雑にかかわるためその予防には疾病の理解が必須である。

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© 2022 日本神経感染症学会
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