NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
脳梗塞急性期患者の医療機関受診までの所要時間についての検討
早瀬 睦川内 豪尾市 雄輝服部 悦子佐野 徳隆宮腰 明典戸田 弘紀
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2018 年 23 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

 recombinant tissue plasminogen activator(rt‒PA)静注療法も血栓回収療法も治療可能時間内であっても再開通が早期に達成されるほど良好な転帰が期待できるため,いかに早く専門的かつ高度な医療を受けられる病院を受診することが重要となっている.しかしこの時間的制約の厳しさからrt‒PA静注療法あるいは血栓回収療法の恩恵を受けられない患者が現在もなお多数存在している.発症から病院到着までの時間短縮を目指すために,2014年から2015年までに当院脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit: SCU)に入院した患者について,発症から来院までに要した時間,来院手段,受診の動機,来院までに時間を要した理由について診療録をもとに後方視的に調査した.2014年10月1日より2015年9月30日までに当院SCUに入院した患者数は384名,うち69%が脳梗塞であった.51%は発症から8時間以上経過して来院されており,4.5時間以内に来院されたのは30%であった.rt‒PA静注療法もしくは血栓回収療法は11%に施行されていた.救急車の利用は来院までに要した時間が短いほど利用率が高い傾向にあるが,それでも63%であった.また患者本人以外の他者が異常を指摘し,受診を指示したケースが45~60%を占めていた.地域住民が脳卒中を疑う知識をもち,急を要する疾患であることを周知することが理想であるが,今回の結果からはまだ十分であるとはいえず,今後検証を続けていく必要がある.

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© 2018 日本脳神経外科救急学会

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