NEUROSURGICAL EMERGENCY
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Print ISSN : 1342-6214
急性期脳梗塞に対して機械的血栓回収療法を行った超高齢者(90歳以上)の治療成績
田中 達也緒方 敦之岩下 英紀劉 軒正島 弘隆桃崎 宣明後藤 公文松永 和雄吉田 昌人本田 英一郎阿部 竜也
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2020 年 25 巻 2 号 p. 253-258

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抄録

 当院での90歳以上の超高齢者に対する機械的血栓回収療法の治療成績を退院時の栄養摂取経路を含め,後方視的に検討した.2015年1月から2018年12月までの期間に当院で機械的血栓回収療法を施行した症例のうち,90歳以上の超高齢者18例を対象とした.性別は男性7例,女性11例,平均年齢92.3歳,発症前mRS 3‒5 8例(44.4%)であった.閉塞部位はICA 7例(38.9%),MCA 11例(61.1%)であった.IV‒tPAは8例(44.4%)に施行され,治療内容はSR 9例(50%),stent retriever (SR)+Penumbra system 8例(44.4%),SR→経皮的血管形成術 1例(5.6%)であった.TICI2b‒3 18例(100%),来院から穿刺までに要した時間は平均67.8分,穿刺から再開通までに要した時間は平均81.4分,退院時mRS 0‒2 3例(16.7%),mRS 3‒5 15例(83.3%),mRS 6 0例(0%),退院時栄養摂取経路は経口摂取11例(61.1%)であった.90歳以上の脳主幹動脈閉塞症例に対する機械的血栓回収療法では発症前mRS3‒5の割合が高いが,高い再開通率が得られ,退院時予後良好例は少ないが,死亡例は少ない.年齢のみで適応を制限しないことが重要だが,適応を判断するために90歳以上の急性期脳梗塞症例の蓄積が必要である.

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© 2020 日本脳神経外科救急学会

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