2020 年 25 巻 2 号 p. 301-305
頚椎黄色靱帯石灰化症は稀な疾患で,通常は緩徐に神経症状を呈するが多いが,時に急速に神経症状を呈することがある.今回我々は,急速に片麻痺を呈し,脳梗塞との鑑別が困難であった頚椎黄色靱帯石灰化症の1例を経験したので報告した.症例は89歳女性で,突然の右片麻痺と右上肢痛,頚部痛を主訴に,発症2時間で救急搬送された.頭部精査で明らかな異常は認めなかったが,超急性期脳梗塞として加療を受けた.翌日になっても脳内に異常が認められなかったため,頚椎精査を行ったところ黄色靱帯石灰症を認めた.直ちに後方除圧術を行い,神経症状および頚部痛は速やかに改善した.