2020 年 14 巻 p. 19-27
大学生の自閉症スペクトラム傾向(ASD傾向)および自己肯定感と社会的同調圧との関係についてAsch(1952)、吉武(1987)の実験を参考に検討した。具体的には、音の長さを判断する課題において、間違った回答を行う多数派の意見の聴取が、自己の判断にどのような影響を与えるのか定量的に評価した。その結果、ASD傾向の高い学生ほど、多数派の意見の影響を受けずに正しい回答を行い、多数派の意見に同調しない傾向が認められた。社会的同調圧の知覚の低さは、場面によって消極的・積極的な意味合いがあることから、同調性の低い学生に対する指導の配慮について考察した。