日本栄養・食糧学会誌
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総説
クロマチンリモデリング因子による小腸吸収細胞遺伝子発現誘導機構
(平成21年度日本栄養・食糧学会奨励賞)
望月 和樹
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2009 年 62 巻 6 号 p. 281-290

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抄録

ビタミンA結合タンパク質CRBPIIおよび脂肪酸結合タンパク質L-FABPの空腸における遺伝子発現は, ラットの哺乳中期に増大し, 二糖類水解酵素スクラーゼ・イソマルターゼ複合体 (SI) および果糖輸送担体 (GLUT5) の遺伝子発現は, 哺乳中期から哺乳後期に増大する。本研究では, CRBPIIおよびL-FABPの遺伝子の発現増大は核内受容体PPARαを介しており, GLUT5遺伝子の発現増大は甲状腺ホルモンおよびグルココルチコイドホルモンの核内受容体 (TRα-1, GR) により調節されることを明らかにした。さらに, 栄養素・ホルモンのシグナルがこれら遺伝子の上流域・転写領域上におけるヒストンのアセチル化ならびにクロマチンリモデリング因子CBP/p300の結合を増大させることを明らかにした。これらの知見は, 栄養素・ホルモンが, 核内転写因子の活性化因子およびクロマチン構造を劇的に変動させる鍵因子として働き, 空腸消化吸収関連遺伝子の転写を調節することを示したものである。

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© 2009 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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