日本栄養・食糧学会誌
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ビタミンB1最小必要量飼料投与ラットあるいは十分量飼料投与ラットを寒冷曝露させた時の肝臓, 血液および尿中のビタミンB1
柴田 克己坂崎 愛佐野 光枝福渡 努
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2011 年 64 巻 5 号 p. 329-334

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抄録

低温環境下ではエネルギー代謝の亢進が起こることが知られている。そこで本研究では, 低温環境下においてビタミンB1の要求量がどの程度高まるかを調べた。まず最初にラットを低温環境下で14日間飼育すると, 飼料摂取量は1.1倍に増加したが, 体重増加量は0.6倍程度であった。したがって, 寒冷曝露により1.7倍のエネルギー代謝の亢進が認められた。同時に, 14日間の寒冷曝露により, 褐色脂肪組織 (BAT) が増加し, 尿中のビタミンB1排泄量は約1/2にまで抑制された。これらの事実によって, 低温環境がエネルギー代謝の亢進をもたらし, ビタミンB1必要量が増加したことが示唆された。さらにこのことを確認するために, ビタミンB1を最小必要量加えた飼料をラットに投与して寒冷曝露し, ビタミンB1欠乏が引き起こされるか否かを調べたが, ビタミンB1を十分量投与した群と比べて顕著な体重増加量の低下は認められなかったが, ビタミンB1の尿中排泄量が低下したことから, 寒冷曝露によってビタミンB1の必要量が高まったと考えられる。

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© 2011 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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