食品中に存在する体調調節因子の多くは多機能性を示し, 種々の疾病の予防に寄与することができる。また, ある種の食品成分は相乗的に作用し, 組み合わせて投与することにより, 低用量で生体調節機能を発現することが可能である。食品成分の機能を活用することができれば, 多機能性食品の構築が可能となり, より低コストで, より安全で, 高い機能性を有する食品を供給することが可能になる。これを実現するためには, 体調調節因子の成分間相互作用の解明, 体内動態の解明, 加齢に伴う体調調節機構の変化の解明などを進める必要がある。多機能性食品の開発は緒についたばかりであり, 広範かつ総合的な取り組みが必要となっている。本稿では, 著者らが実施してきた多機能性食品の開発に関する研究の全貌を紹介する余地がないため, 機能性脂質, 抗酸化成分, 食物繊維の体調調節機能とその活用に絞り, 重要なトピックのみを紹介することとする。