日本栄養・食糧学会誌
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研究ノート
炭酸水による口腔への刺激が深部・末梢体温に及ぼす作用―Sham-feeding (偽飲) による口腔内刺激を用いた評価―
高木 絢加谷口 彩子駒居 南保村 絵美永井 元森谷 敏夫永井 成美
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2014 年 67 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

炭酸水の口腔内刺激 (清涼感) に着目し, 炭酸水の飲水が実体温をどの程度変化させるのか, その反応は炭酸の口腔内刺激のみでも起こるのかどうかを明らかにするために, 等温・等量の炭酸水と水を用いた飲用試験と偽飲 (Sham-feeding;SF) による口腔内刺激のみの試験を行った。炭酸水の飲水 (炭酸水) , 水の飲水 (水) , 炭酸水の偽飲 (炭酸水SF) , 水の偽飲 (水SF) の4試行をrandomized crossover designで実施した。前夜10時より絶食した若年女性13名に, 室温を26℃に保持した実験室で異なる日の朝9時にサンプル (15℃, 250 mL) を負荷した。心電図 (心拍数, 心拍変動) をサンプル負荷前20分間および負荷後40分間測定し, 深部体温 (鼓膜温) , 末梢体温 (足先温) を高感度サーモセンサーで連続測定した。鼓膜温は水・炭酸水ともにSFでは変化せず, 飲水で一過性に低下した。足先温は, 飲水 (水, 炭酸水) で約2.5-3℃低下し, 水SFでは約1℃の低下であったのに対し炭酸水SFでは約2.5℃の低下を認めた。心拍数は, 炭酸水, 炭酸水SFで負荷直後に一過性に上昇した。結果より, 炭酸水の口腔内刺激 (味, 炭酸刺激) のみでも足先温や心拍数を変化させることが示された。

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© 2014 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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