日本栄養・食糧学会誌
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時代と共に変化した日本食が母乳を介して仔マウスの脂質代謝系に与える影響
畠山 雄有北野 泰奈本間 太郎卾 爽山本 和史治部 祐里川上 祐生都築 毅
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2014 年 67 巻 5 号 p. 255-270

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抄録

我々は, 様々な年代の日本食のうち, 1975年の日本食は最もカロリー制限 (CR) 様効果が強く, 健康維持に有益であることを明らかとした。CRは健康維持に有益な方法であるが, 妊娠授乳期の母親のCRは子供の将来の健康に悪影響を与えることが知られている。そこで本研究では, 日本食が母乳を介して子供に与える影響を明らかにするため, マウスを用いて検討した。様々な年代の日本食を授乳期の母獣に与え, 離乳後の仔を高脂肪食で飼育した。その結果, 11週齢と18日齢において1975年群で肝臓に脂質蓄積が認められた。一方, 18日齢の1975年群では白色脂肪組織重量が最も低く, 脂質代謝系遺伝子が活性化し, 脂肪分解や排出が促進されていた。よって, 1975年日本食は母乳を介して乳児の白色脂肪組織重量を低下させるものの, 肝臓において脂質の消費を促進せず脂質蓄積を進行し, さらにこの変化は成長後も持続することが明らかとなった。

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© 2014 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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