抄録
食品中の抗酸化成分は, 加齢性疾患や老化過程に関与する酸化ストレスを制御することにより, 機能性を発揮することが期待される。しかし個々の成分の生体への吸収代謝および標的部位への蓄積や, その作用機構には不明な点が多い。したがって, ヒトでの最終的な機能性評価は困難である。この問題を解決するには, 抗酸化成分の生体利用性を明らかにし, その作用機構を分子・細胞レベルからヒト臨床レベルまで統合して理解することが必要である。そこで, 酸化ストレス制御に関わる食品抗酸化成分として, 植物性色素であるカロテノイドとフラボノイドを主な対象とし, 酸化ストレスが関与する各種疾患の予防因子としての機能を評価することをめざした。本総説は, 平成26年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞の対象となった研究成果から, カロテノイドの光老化抑制作用とフラボノイドの抗動脈硬化作用, 中枢神経保護作用および抗筋萎縮作用を中心に紹介する。