日本栄養・食糧学会誌
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総説
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」,エネルギーの考え方と今後の課題
勝川 史憲
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2016 年 69 巻 3 号 p. 109-115

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抄録

「日本人の食事摂取基準 (2015年版) 」は, 生活習慣病の重症化予防を視野に入れた策定がなされ, 保健指導レベルの高血圧・脂質異常・高血糖・腎機能低下を有する者や, BMI 30未満の肥満者を対象に含めた。エネルギー摂取量の評価は, 食事アセスメント法の過小評価という限界があり, エネルギー消費量も, 二重標識水法で正確な測定が可能だが, 費用面から汎用は困難である。これに対し, エネルギー出納 (=エネルギー摂取量-消費量) で変化する体重は, 現場で比較的精度の高い評価が可能である。体重はエネルギー出納の結果として変化するが, 長期的には体重変化によりエネルギー消費量も変化し, エネルギー出納の過不足は調整される。したがって, 適切なエネルギー摂取量, 消費量のバランスが維持されている状態を示す指標として, 今回の食事摂取規準はBMIを採用した。18歳以上を年齢で3区分し, 観察疫学研究で総死亡率が最低となるBMIをもとに, 目標とするBMIの範囲を示した。高齢者では, 現状のBMI分布および生活習慣病, 虚弱の予防も考慮し策定した。

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© 2016 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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