日本栄養・食糧学会誌
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国民健康・栄養調査の標準レシピの栄養量と地域高齢者の摂取料理との比較
今枝 奈保美後藤 千穂藤原 奈佳子加藤 利枝子石川 奈美徳留 裕子
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2016 年 69 巻 5 号 p. 237-248

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抄録

国民健康・栄養調査を始め, 多くの食事記録調査において, 材料等が不明な料理は事前に準備したレシピ (SR) で標準化する。本研究は, 高齢者の食事評価にSRを用いることの妥当性を検証するため, 地域高齢者に秤量記録法で調べた主要料理21種類と, 国民健康・栄養調査SRの栄養量を比較した。妥当性は一致率とロバスト法のZスコアを指標とした。一致率とは, SR栄養量の±20%の範囲が観察料理のパーセンタイル値11点 (3rd, 10th, ・・・90th, 97th) のうち何点を含むかを示した割合である。結果, SRの一致率は平均22.3%, レンジ10.9% (煮物) から50.0% (カレーライス) で, 副菜は主食や主菜よりも低かった。Zスコアは概ねの料理の栄養素で±1.0未満だった。この指標によるとSRは高齢者にも有効な食事評価ツールであったが, 実際の料理は変動が大きいので, SRの妥当性は今後も検証が必要である。

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© 2016 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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