日本栄養・食糧学会誌
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ラットにおける食餌量制限による糖質と脂質代謝系の日内変動
福田 ひとみ平川 智恵勝川 路子加藤 真由子中野 長久桂田 昭彦入谷 信子
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2016 年 69 巻 6 号 p. 289-297

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抄録

糖質と脂質代謝系に対する食餌量制限の影響を研究するために, ラットを自由摂食と80%に食餌量を制限した2群で2週間飼育し, その代謝系指標の日内変動を17:00および18:00より3時間ごとに調べた。胃の内容物重量は17:00の給餌から10時間後の翌朝3:00までは制限食群の方が多かったが, 16時間後減少した。血漿遊離脂肪酸, 総ケトン体値は給餌16時間後の9:00には制限食群で高かった。血漿インスリン値は両群とも0:00 (給餌後7時間) まで高く, その後制限食群で特に低下した。肝臓グリコーゲン値は制限食群でも変動幅は同じであったが, 6時間早くピークに達した。一方, 制限食群では血漿, 肝臓TAG値, 体重増加と内臓脂肪組織重量が減少した。各指標の日内変動は制限食群で大きかった。制限食群は胃内容物が枯渇するような時点では, 飢餓状態と類似の糖質・脂質代謝状況を呈し, コルチコステロンが急増することから, エネルギー代謝ホメオスタシスの維持という点では短時間のストレスを回避できなかったと推察された。

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© 2016 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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