2017 年 70 巻 1 号 p. 9-15
本研究は, 高校生女子長距離選手および短距離選手の骨密度 (BMD) の部位ごとの比較, および各部位のBMDに影響する因子を検討した。高校生女子陸上競技選手37名 (年齢: 16.1±0.8歳, 長距離選手: 16名, 短距離選手: 21名) を対象に, 二重エネルギーX線吸収法 (DXA) を用いたBMDおよび体組成測定, 食事調査, 活動量調査 (生活活動, 走行距離) , 質問紙調査 (月経状態, 疲労骨折歴) を行った。長距離選手と短距離選手を比較すると, 除脂肪量 (FFM) およびBMDは, 短距離選手で有意に高値を示した。重回帰分析の結果, 脊椎を除く各部位のBMDにFFMが, 両腕, 骨盤, 頭を除く全身 (TBLH) BMDに魚介類摂取量が, 骨盤BMDにBMIがそれぞれ有意な変数として認められた。本研究の結果より, 長距離選手と短距離選手のBMDの差にはFFMが大きく影響していること, またBMDに魚介類摂取量が影響する可能性が示唆された。