日本栄養・食糧学会誌
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総説
オーツ麦に特徴的なジガラクトシルジアシルグリセロール‐モノエストリドによる抗炎症作用
伊藤 隼哉山田 浩輝石原 克之仲川 清隆
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2024 年 77 巻 2 号 p. 97-102

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抄録

様々な疾患の原因や増悪化に関連する炎症を制御するために, 日常の食事を通じた抗炎症成分の摂取は有用である。本総説では, 近年オートミールやグラノーラ, オーツミルクなどで需要が高まっているオーツ麦に注目し, オーツ麦に含まれる抗炎症成分を中心に概説する。特に, 機能性脂質として注目されている糖脂質 (ジガラクトシルジアシルグリセロール, DGDG) やエストライド (ヒドロキシ脂肪酸と脂肪酸のエステル体), そしてこれらを構成要素として有するDGDG-モノエストリドの構造解析と抗炎症効果について詳細に述べる。DGDG-モノエストリドはオーツ麦に特徴的な成分であるが, その機能性, 特に抗炎症効果については明らかでなかった。著者らはオーツ麦から単離精製したDGDG-モノエストリドが抗炎症作用を示すことを初めて報告した。本総説で紹介したDGDG-モノエストリドをはじめ, オーツ麦の機能性成分に関する知見がさらに蓄積され, オーツ麦の健康有用性のさらなる解明や, 活用増進につながることが期待される。

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