2026 年 79 巻 3 号 p. 197-205
薬物相互作用は,治療効果の変動や副作用発現に直結する重要な要因であり,近年は薬物と食品・栄養素・嗜好品との相互作用への関心が高まっている。本総説では,薬物と食品成分の相互作用について,薬物動態学的および薬力学的観点から,その基本概念,分類,発現機序を体系的に整理した。特に,吸収および代謝過程における摂食の影響,薬物代謝酵素やトランスポーターを介した相互作用,薬物の溶解性と膜透過特性代謝特性(BCS/BDDCS)に基づく食事影響の理解,さらに薬物と栄養状態の双方向性について概説した。食品は成分の多様性や摂取様式の個人差が大きく,相互作用評価が困難であるが,薬物相互作用評価の枠組みを応用することで理解の深化と適切なリスク評価が可能である。本総説が,薬物と食品の相互作用に関する研究および薬物療法の適正化に資することを期待する。