抄録
1) 国立東京療養所入所中の, 主として重症活動性肺結核患者中, 肝機能正常と認められた者12例と, 肝機能障害を認めた者12例について, 血清M量, アミノ酸N量N. P. N. を測定し, 3者の間の相関関係につき考察を加えた。
2) 血清M量, アミノ酸N, N. P. N. とも肝機能障害群に増量を認めたが, 血清M量のみ有意の増加を証明し, アミノ酸N, N. P. N. とも有意差を認める程に至らなかつた。
3) 軽度肝障害時には, 血清M量の増減はアミノ酸Nと有意の相関を示したが, N. P. N. との間には何等相関関係を証明し得なかつた。
4) 重症肝機能障害時には, 血清M量は特異的に増量し, 更に急性黄色肝萎縮症の如き, 急性且つ広汎な重症肝障害時には, 血清アミノ酸N, N. P. N. も増量を来すのが観察された。