抄録
1豆類の遊離アミノ酸分布状況試験豆類中に大体共通して存在したアミノ酸は, アスパラギン酸, グルタミン酸, アスパラギン, グルタミン, アラニン, バリン, ロイシン, スレオニン, チロシン, グリシン等の10種類であつたが, プロリン, β-アラニン, γ-アミノ酪酸等も可成り広く分布するアミノ酸であつた。その他共通でないアミノ酸としてセリン, シスチン, フェニールアラニン, リジン, ヒスチジン, タウリン, オルニチン等が見出された。
2豆類の発芽に伴う遊離アミノ酸分布の変化状態試験豆類が発芽して幼植物になると, 遊離アミノ酸の分布状況に変化を生じた。種子とその発芽幼値物中に大体変化なく共通して存在するアミノ酸はアスパラギン酸, グルタミン酸, グルタミン, アラニン, バリン, ロイシン, スレオニン, チロシン等の8種類であつたが, アスパラギンも十六寸豆の場合を除けば大体共通するアミノ酸であつた, 又種子中に存在するが発芽して幼植物になれば大体消失するらしいアミノ酸はシスチン, リジン, オルニチン等で逆に発芽後の幼植物中に新たに見出されたアミノ酸は大体ヒスチジン, タウリン等のようであつた。
3豆類の発芽に伴う遊離アミノ酸含有量の変化状況試験豆類が発芽して幼植物になると, 遊離アミノ酸の含有量に変化を生じた, 試験豆類に大体共通して発芽後の幼植物中に含有量の著しく増大するアミノ酸はアスパラギンであり, セリン, アスパラギン酸, バリン, スレオニン等も多少増量するようである。又各試料についてその乾燥重量中のアミノ酸の絶対量は各種のアミノ酸についてその発芽後の幼植物中に著しく増量してくる。又逆に発芽後の幼植物中に大体含有量の減少がみられるアミノ酸はグルタミン及びグルタミン酸等であつた。
4アミノ態Nの含有量の変化状況豆類が発芽して幼植物になると, アミノ態Nの含有量が増量する。種子及びその発芽幼植物の各々についてその乾燥重量中のアミノ態Nの絶対量は発芽後の幼植物中に著しく増量してくる。試験豆類の中では小豆, ささげ, うずら豆の場合に増加率が高かつた。