栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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ウレアーゼに及ぼすビタミンB類の影響 (第1報)
ビタミンB1の影響
一瀬 義文
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1961 年 13 巻 6 号 p. 355-359

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抄録

(1) 硝酸銀水溶液で予め不活性化したウレアーゼはB1濃度それぞれ10-4M, 1/3×10-3M, 10-3, 2×10-3Mおよび5×10-3Mの何れによってもその活性が回復されなかった。
(2) ウレアーゼに予めB1濃度それぞれ10-4M, 1/3×10-3M, 10-3M, 2×10-3Mおよび5×10-3Mのものを加えそれぞれ30分間, および60分間作用させた後基質を加えたものは酵素作用の阻害を認めなかったが基質, 酵素およびB1等を同時に混合した場合にはB1濃度10-3Mおよび2×10-3Mを加えたものは18-19%の作用阻害を示した。即ちこれはE.R.Ebersole等4) の所謂反拮抗的阻害即ち阻害物質が遊離の酵素とは結合せず基質と結合した酵素とのみ反応して酵素作用を阻害するものと思われた。
(3) B1濃度それぞれ10-3M, 2×10-3Mおよび5×10-3Mに相当するピリミヂン, チアゾール各単独及び両者を単に混合したものはウレアーゼ作用を阻害しなかった。然るに上記のB1各濃度に相当するチオクロームは何れも9-11%の酵素作用阻害を示した。このことからβアミラーゼに対する作用阻害の場合と同様にB1のピリミジン部とチアゾール部が結合していることがウレアーゼ作用阻害に有意義であることが伺われた。
(4) ウレアーゼの活性基であるSH基とB1構造中のどの部位が結合するかについては勿論今後一層の検討を必要とするがチアゾール部の5位のオキシエチル基部位ではなかろうかと推論した。本実験の遂行に当って終始熱心に協力された山下弘子助手に深く感謝の意を表する。

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