栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響 (第13報)
変敗油による揚げ鯨肉のたん白質の変性および消化率について
梶本 五郎谷田 博美
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1962 年 14 巻 6 号 p. 467-471

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抄録
1.鯨肉を未変敗大豆油および変敗油で, それぞれ170℃ で4分間揚げ, 直ちにエーテルにて3回洗滌したものと, 完全に脱脂した鯨肉についてパンクレアチンで, 消化性および消化率を調べた結果, 生鯨肉よりも油揚げ鯨肉の方が消化性および消化率が共に良く, また未変敗油変敗度が高くなるにしたがい, 徐々に消化性はよくなり, 過酸化物価200をこえると逆に消化性は悪くなっていった。
2.水に対する溶解率は生鯨肉に比べ, 末変敗油鯨肉は半減し。さらに変敗油鯨肉の方が減少率が大きい。
溶液のpHは変敗油鯨肉程, 酸性側にあった。
3.各処理鯨肉中のシスチン量は, 生鯨肉に比べ油揚げ鯨肉の方が減少し, さらに変敗油鯨肉の方が減少率が大きい。
4. SH基は油揚げ処理により鯨肉中に多く出現したが, 未変敗油鯨肉の方が変敗油鯨肉よりも多く出現した。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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