栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ビタミンCの酸化に及ぼす抗生物質の影響 (第1報)
ペニシリンの影響
一瀬 義文
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1962 年 15 巻 3 号 p. 186-190

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抄録
(1) ペニシリン (P) を合成L-アスコルビン酸 (LAA) または疏菜中のビタミンC (C) と直接混合した場合に, これがCの酸化に及ぼす影響を検討した。
(2) 各温度 (4℃ 7~14日間, 40℃ 1~7時間, 100℃ 5~60分間) の場合を綜合すると, 概して5, 10および50mg%程度のLAAではPの添加 (10~4, 000mg/dl (500~200, 000単位)) によってLAAの残存率 (R) が増1加 (8~27%) した。
(3) LAAの濃度が増加するにつれて一般にPを加えたものの対照とのRの差は少なくなる傾向がみられ, 100mg% LAAの場合は対照との差をほとんど認めなかった。
(4)(2)(3) の理由についてはさらに検討を要するが, 加えたPの分解によって生ずるSH化合物であるペニシラミンが関係があるのではないかと推論した。
(5) 疏菜の場合には, Pを加えたものと, 加えないものとの間には, Rの相違がほとんど認められなかった。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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