栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
糠味噌床の質的向上に関する研究 (第1報)
放線菌プロテアーゼの利用と脱脂大豆の混入について
支倉 さつき林田 紀代子船岡 和子
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1963 年 15 巻 5 号 p. 348-352

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抄録
糠味噌床の香味の向上と栄養学的意義の向上を目的として, 糠味噌床に脱脂大豆の混入と放線菌プロテアーゼの利用とをこころみに。本報は, まず基礎的実験を三角フラスコ内で行なった結果, 次の事項を認めた。
1) 放線菌プロテアーゼの作用効果は, 米糠基質に対しても効果的であるが, それにもまして, 脱脂大豆混入の米糠基質に対した方が大で, 生酸度, 可溶態窒素, アミノ態窒素の増加量が大であることがわかった。米糠への脱脂大豆混入は, 基質そのものの蛋白強化ともなり, 放線菌プロテアーゼ添加と相俟って糠床熟成の促進に大いなる効果を示した。
2) 放線菌プロテアーゼ添加量は, 基質10g当り, 0.2-1mgを妥当と認めた。また脱脂大豆は, 米糠に対して等量でよいことを知った。家庭の糠味噌床において, プロナーゼおよび脱脂大豆の利用は価格の点からも実用化の可能性を見出した。
3) 作用温度は, 30℃前後でも有効である点から, 放線菌プロテアーゼの利用は容易であることを明らかにした。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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