栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響 (第18報)
クロロフィル分解物の分別と確認について
梶本 五郎
著者情報
ジャーナル フリー

1963 年 16 巻 2 号 p. 60-63

詳細
抄録
1.大豆油にクロロフィルを0.02%添加, 170℃で90分間加熱し, エーリッヒ反応を呈す油脂と, ほうれん草を170℃で油あげし, ほうれん草葉中のクロロフィルが油脂に移行し, 移行したクロロフィルがさらに分解し, エーリッヒ反応を示す油脂とを調製し, 径1.5cm, 長さ50cmのガラス管にクロマト用シリカゲルを20cmつめ, 石油ベンヂンと共に調製した油脂を注流し, 石油ベンヂンにて大部分の油脂を除去し, 引続き99%アルコール, 30%アルコールの順にて溶出した。99%アルコール溶出液にはエーリッヒ呈色反応を認めた。
エーリッヒ反応を示すアルコール溶液をさらに蒸留し, アルコールと共に蒸留して出てくるエーリッヒ反応呈色物について以下の実験を行なった。
2. エーリッヒ呈色アルコール液に, 塩化第二水銀の飽和液を滴下し, 塩化第二水銀塩を作り, Dumas法で窒素量を求め, クロロフィル分解の塩化第二水銀塩には0.3%の窒素量, ほうれん草分解の塩化第二水銀塩には0.2%の窒素が含まれていた。
3. エーリッヒ呈色アルコール液のペーパークロマトグラフィを行ない, 発色数1っを検出し, そのRfは標準のピロールと異なった。
4.エーリッヒ呈色アルコール液の紫外部の吸収スペクトルを測定したが, ピロールでなく, ピロール誘導体と考えられる。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top