栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響 (第22報)
フライ油の発泡度合と毒性
梶本 五郎玉井 郁子古井 保子向井 克憲
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1964 年 16 巻 5 号 p. 432-435

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抄録

フライ油の疲れを泡延距離で評価することを試み, 疲れと泡延距離との間に一定の関係があることがわかったので, ついで泡延距離の異なるフライ油で白ネズミを飼育した。
その結果
1. 泡延距離30mmまで (180℃であれば, 20時間加熱まで) の油脂で飼育した場合は体重の減少がなく, 泡延距離32mm (フライ油の疲れ初め) では, 対照に比べやや体重の増加が少なく, 泡延距離が長くなるにしたがい体重の減少がいちじるしく, 毛並はあれ, 泡延距離200mmでは, 13日前後で死亡し, 泡延距離80mmでは36日目に3匹とも続いて斃死した。したがって, 泡延距離の長さから毒性有無の判断がつき, 簡便にしてフライ油使用可否の目安になる。
2. 泡延距離200mmの油脂で連日投与した場合は, 13日前後で死亡するも, 各日投与になれば, わずかではあるが体重増加の傾向にあり, さらに2日, 3日おき投与になれば, 殆んど毒性の影響はあらわれなかった。
3. 180℃で加熱フライ油の泡延距離が, 長くなるにしたがい, 屎中の水分, 灰分, 総窒素量は次第に減少し, エーテル抽出物は増加の傾向にある。220℃, 20時間加熱では, 灰分, 総窒素量は次第に減少し, エーテル抽出物は増加の傾向にある。220℃, 20時間加熱では, 灰分, 総窒素, エーテル抽出物はいちじるしく増加する。
したがって, 180℃と220℃加熱では, フライ油の重合桟構, 重合度合, 毒性生成物がいちじるしく異なるため, 消化吸収, 代謝代用に相異をもたらすものと考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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