1964 年 16 巻 6 号 p. 525-530
(1) 牛乳Caseinを標準試料とし, 微生物法による食品蛋白質のアミノ酸組成を行なうのに適当な蛋白質の加水分解条件を検討して, 標準となり得る加水分解方式を決定した。その結果
iこの加水分解方法によった場合, 同一試料のアミノ酸組成については, 従来報告されている文献値とよく一致する結果が得られる。
iiこの加水分解方法によれば, 試料中の糖量が50%の場合には, Cystineにおいては, 約4%の範囲で定量値に影響が認められるが, Methionine, Lysine, Tryptophanにおいては1.7-1.2%, その他のアミノ酸では無視し得る程度の影響しか認められない。
iiiこの加水分解方法によるLysineの定量値を, DNP法によるそれと比較すると, 無糖の場合は両者はよく一致するが, 糖量の増加に従い後者は小となり, 50%の糖量においては約4%の差が出る。
(2) 上記の加水分解方法に従い24種類の動物性および植物性食品につき微生物法によりアミノ酸組成を定量し併せてDNP法による生物的活性Lysineを定量したがその値は微生物定量法によるLysineの値にくらべて動物性食品では97.0-99.5%, 植物性食品では92-97.8%の低値を示した。