栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
窒素の尿中排泄に対する情緒的ストレスの影響
重久 剛
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1964 年 17 巻 2 号 p. 60-63

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抄録

情緒的ストレスによる蛋白摂取量の増加の機構を検討する目的で, 対照期 (15日), ストレス前期 (条件づけ) (10), ストレス後期 (消去) (10), 対照期 (25) の60日間, ラッテの尿中窒素排泄量を測定した。ストレスの負荷には, しきいで2部屋に仕切った電撃箱による回避条件づけを用いた。ストレスを与えることにより, 不安行動が現われると共に, 窒素の尿中排泄が著く増加した。これに対しで, 食欲の減退および吸収率の低下によって, 窒素の体内にとり入れられた量は, 著しく減少した。
尿中窒素排泄量は, ストレス前期に急速に増加して最大に達し, ストレス後には, 徐々に回復し, ストレス前の値を下まわった。窒素の体内にとり入れられた量に対する尿中排泄量の比は, ストレス前には, ほとんど一定であったが, ストレス期に, 全動物において急速に増加し, ストレス後には徐々に減少して完全に回復した。
窒素排泄の増加は, 情緒的ストレスによって惹起された蛋白異化の亢進を示すものであり, 前報における蛋白質摂取の増加は, この異化亢進と直接関連をもつものと思われる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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