抄録
典型的な合成乳化剤のW/O型2種, O/W型3種と, あるいは界面活性作用があると考えられる糖蜜ブタノール発酵蒸留残液の脱カリ乾物 (MS) を, 基本飼料に1%配合してかつ約10%の大豆油を加えて水で練って蒸熱して, 35日間シロネズミに与えて, その成長や消化率や内臓分布に及ぼす影響を比較実験した。
各添加区のシロネズミの蛋白質, 脂肪および有機物の消化率は無添加対照区に比べて顕著な差はなく, 添加の影響はほとんど認められなかった。
シロネズミの成長に対しては, MSおよび水に不溶のW/O型のSSの添加はほとんど影響が認められなかった。その他のO/W型の合成乳化剤3種と温水溶性のW/O型の1種は, 1%添加した場合に, 明らかな成長促進効果が認められた。しかし乳化剤の性質と成長効果の間には一定の関係を見出すことができず, その作用は複雑であると考えられた。
これらの乳化剤の添加でシロネズミの内臓の外観や重量分布に対してはほとんど影響は認められなかった。