栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
スグキ漬に関する研究 (第2報)
乳酸菌添加法によるスグキ漬の予備試験
福原 貞介藤原 邦達山口 三郎
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1965 年 18 巻 2 号 p. 73-79

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抄録
スグキ漬工程の実際に準じた熟成条件を実験的に設定し, スグキ汁液を培地として各種標準乳酸菌, 分離保存乳酸菌の生育, 生酸を観察し, つぎの結果を得た。
1. 滅菌, あるいは非滅菌スグキ菜培養液に対する乳酸菌の添加は明らかに生酸を促進することを認めた。
2. 初期接種菌量は生酸と一定の範囲で正比例の関係を保つ。また食塩添加濃度と生酸は一定の範囲内でほぼ反比例する。
3. 雑菌の耐塩性はかならずしも弱くない。しかし適量の乳酸菌の共存でその影響はほとんど無視できる。
4. 生酸性の自然付着菌は生スグキ菜の根部よりも葉茎部に多く存在する。またこの菌は軽度の加熱 (94℃5分) によって容易に減少する。
5. 生酸性, 生育性を指標に菌株の選択を行なった。
以上のようにスグキ汁液の培養に乳酸菌の添加は明らかに有意であり, もちいた乳酸菌のうちで生酸, 生育の特に良好と認められた菌株は分離菌ではNo. N. 11, T. 14株, 標準菌ではLeuconostoc mesenteroidesの3種であった。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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