富山県地方では広く飲用されている焙じ番茶抽出液中の2, 3の呈味成分, ならびに無機イオンやビタミン類について, 宇治煎茶抽出液のそれらと比較研究を行なった。
焙じ番茶葉の粗蛋白は煎茶葉に比較して著しく少なく, 粗繊維は逆に著しく多かった。
煎茶抽出液中には, ペーパークロマトグラフィーによりテアニン, アルギニン, アスパラギン酸およびグルタミン酸を検出したが, 焙じ番茶抽出液中にはニンヒドリン陽性物質は全く検出されなかった。
糖含有量は焙じ番茶抽出液に少ない。 焙じ番茶抽出液中の糖成分としては, ブドウ糖, 蔗糖が検出されたが, 煎茶抽出液中の糖成分は, ブドウ糖, 蔗糖に加えて果糖が検出された。
マンガン, カルシウムは焙じ番茶抽出液中に多く, V. B1およびV. Cは, 煎茶抽出液中に多く含まれていた。なお焙じ番茶抽出液の酸化型V. Cの総V. Cに対する割合は煎茶抽出液のそれに比して著しく多かった。