栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
凍結乾燥卵白の加熱による栄養価の変化 (その1)
加熱条件の検討およびアミノ酸補足
吉田 昭守時 圭子喜来 良子
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1969 年 22 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

凍結乾燥卵白を蒸気加熱するとそのタンパク質としての栄養価は著しく低下した。 100℃, 10分程度の蒸気加熱では一部の必須アミノ酸の添加でも栄養価はかなり回復したが100℃, 30分あるいは120℃, 30分の蒸気加熱では, もはや一部の必須アミノ酸の添加では効果が認められない程に全体の消化率が大きく低下した。 凍結乾燥でなく40℃の送風乾燥器中で乾燥させた卵白を同様に蒸気加熱した場合もかなりの消化率の低下が認められたがその程度は凍結乾燥卵白の場合程著しくはなかった。 あらかじめ卵白をグルコースオキシダーゼで酸化して除いた場合は蒸気加熱による影響はかなり軽減された。
卵白を乾燥しないで蒸気加熱した場合, あるいは凍結乾燥卵白を定温乾燥器中で乾熱した場合は蒸気加熱と同じ温度, 同じ時間でも影響はほとんど見られなかった。 凍結乾燥卵黄は凍結乾燥卵白と同条件の蒸気加熱では全く栄養価は低下しなかったが, エタノールおよびヘキサンで脱脂した後, 蒸気加熱すると消化率はかなり低下した。 すなわち脱脂が卵黄の加熱による変化を阻止することが示された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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