1969 年 22 巻 1 号 p. 5-11
大豆乳の蛋白質の特徴を知る目的で調製方法を変えた場合の蛋白質の組成, 蛋白質粒子の形態, pHの変化に伴う蛋白質粒子の変化を脱脂乳と比較してしらべた。
(1) 大豆乳は浸出のさい加熱すると, 全固形物, 蛋白質その他の成分含量は多くなり, 窒素化合物は酸沈澱区分が多く, 酸可溶区分は少なくなった。
(2) 大豆乳蛋白質粒子は電子顕微鏡による観察によれば球状であり, 50mμ程度で牛乳のそれよりはるかに小さい。
(3) 加熱浸出した大豆乳の蛋白質粒子は会合して巨大粒子を形成することが観察された。
(4) 大豆乳, 脱脂乳ともpHが酸性になると蛋白質粒子は会合して大きくなるがこの傾向は大豆乳が顕著であった。またpHが2.4の強酸性液中の蛋白質粒子は膨潤していることが観察された。
(5) 酸変性した蛋白質粒子をもとの液のpHの状態に規正した乳汁中の蛋白質粒子は形状を異にし, もとの形状にもどらないことが観察された。