栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
シロネズミの体内Sulfhydryl (SH) による水銀解毒に関する研究 (第2報)
メチオニン添加, 水銀農薬連続投与, 飼育シロネズミの諸組織ならびに排泄物中のHgおよびトレーサーとした放射性水銀含有量について
後藤 たへ藤野 正子
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1969 年 22 巻 2 号 p. 78-82

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抄録

トウモロコシと凍豆腐を主体とする基本食 (蛋白質12.8%, 脂肪6%) にメチオニンを0.12%内外, 酢酸フェニルHgをHg当量として約480μg混合投与して幼シロネズミを115日および11日飼育後, 1万カウント内外の203Hg (NO3)2を3日間餌とともに経口投与し, その後の排泄物中の放射能を測定すると屎尿中の合計放射能は投与放射能の91~96%で, その中, 尿に約12%内外排泄される。その際Hg農薬を投与しないシロネズミの肝臓に0.1%, 腎臓に約2%以内残っているがHg農薬を連続投与したシロネズミでは肝臓および腎臓に各々0.5%から2%内外の放射能が残る。
その他, 基本食にHg農薬のみの添加食餌シロネズミ群の一部に脳と脛骨中に痕跡の放射能が認められたが, 脾臓, 毛, 尾, 足, 筋肉のいずれにも残留放射能が認められなかった。上記と同じ試料についてHg含有量をしらべたところ, 屎中に5.5μg内外, 尾に1.6μg内外, 毛に0.05μg, 脳に0.6μg内外, 肝臓に0.26μg内外, 腎臓に0.1~1.3μgのHgが含まれている。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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