1969 年 22 巻 2 号 p. 73-77
離乳後約1週間および5週間経過のウイスター系シロネズミの64匹を4区に分け, トウモロコシまたは米と凍豆腐を主体とする基本食餌 (蛋白質12.8%~16%, 脂肪6%) を1区とし, 2区はメチオニン, 3区はメチオニンとHg農薬, 4区はHg農薬のみ添加して, 約2~3カ月飼育し, その発育状態と内臓重量および肝臓SH量について調べた。 メチオニン添加量は0.05%から0.2%迄, Hg農薬はHg当量として20μgから600μg迄増加して添加した。 肝臓中のSHはC. D. E. Marcoらの方法で定量した。 酢酸フェニルHgの連続投与はシロネズミの発育を阻害し, 外観上もこれらのシロネズミは毛につやなく, その毛も抜けて, 毛並み悪く元気も悪い。 内臓所見においては例外なく, 肝臓と腎臓の肥大を起こしていた。 さらに肝臓中のSH値は例外なく低下した。 しかるに基本食に微量 (最小量0.05%) のメチオニン添加投与でも上記の害作用を明らかに減少させた。 Hg農薬の害作用は初体重約60gのシロネズミの方が初体重約110gのシロネズミより著しい。