栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
シロネズミの体内Sulfhydryl (SH) による水銀解毒に関する研究 (第1報)
水銀農薬投与食餌のシロネズミの発育に及ぼすメチオニンの影響と肝臓中のSHについて
後藤 たへ藤野 正子
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1969 年 22 巻 2 号 p. 73-77

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抄録

離乳後約1週間および5週間経過のウイスター系シロネズミの64匹を4区に分け, トウモロコシまたは米と凍豆腐を主体とする基本食餌 (蛋白質12.8%~16%, 脂肪6%) を1区とし, 2区はメチオニン, 3区はメチオニンとHg農薬, 4区はHg農薬のみ添加して, 約2~3カ月飼育し, その発育状態と内臓重量および肝臓SH量について調べた。 メチオニン添加量は0.05%から0.2%迄, Hg農薬はHg当量として20μgから600μg迄増加して添加した。 肝臓中のSHはC. D. E. Marcoらの方法で定量した。 酢酸フェニルHgの連続投与はシロネズミの発育を阻害し, 外観上もこれらのシロネズミは毛につやなく, その毛も抜けて, 毛並み悪く元気も悪い。 内臓所見においては例外なく, 肝臓と腎臓の肥大を起こしていた。 さらに肝臓中のSH値は例外なく低下した。 しかるに基本食に微量 (最小量0.05%) のメチオニン添加投与でも上記の害作用を明らかに減少させた。 Hg農薬の害作用は初体重約60gのシロネズミの方が初体重約110gのシロネズミより著しい。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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