抄録
牛初乳の免疫グロブリンをプロナーゼで分解して得た2種類のグリコペプチドの中性糖類, グルコサミン, シアル酸, アミノ酸の量より, その分子組成を比較検討した結果, いずれも糖類ではマンノース10mol, ガラクトース7mol, フコース2molを, アミノ酸ではSer 2mol Asp 2mol, Thr 2molを含んでいるが, グルコサミンおよびシアル酸の量が異なっており, 特にシアル酸はグリコペプチドの1つには2molあるのに対し他のグリコペプチドには存在しなかった。
シアル酸は蛋白質よりグリコペプチドを得る際に脱落することもあるので, 他の組成が非常によく一致していることより, これら2種類のグリコペプチドは蛋白質に存在する同一のグリコペプチド鎖より生じたものと考えられる。
Ser, ThrがAspとともに存在することは糖とアミノ酸の結合について一つの示唆を与えるが解明することはできなかった。