抄録
(1) n-パラフィンを炭素源として成育した酵母 (Candida属) の乾燥菌体から食糧化への応用を目的としてタンパク質の抽出を行ない, その栄養価を測定した。
(2) 2% NaOHを用い, 37℃にて10時間振とう撹拌により, 粗タンパク質の約70%が抽出された。この抽出液から等電点沈澱により約37%の粗タンパク質が回収された。
(3) こうして得られたタンパク質画分の必須アミノ酸組成は, システイン含量の著しい減少を除いては, 乾燥菌体のそれと近似していた。第1制限アミノ酸は含硫アミノ酸であった。
(4) タンパク質を菌体から分離することにより, ペプシンによる人工消化率に著しい向上がみられた。